教育訓練給付制度の条件・支給額・申請手順完全ガイド

学び直しやキャリアアップの手段として、今ますます注目を集めているのが「教育訓練給付制度」です。

この制度は、一定の条件を満たすことで、受講費用の一部が国から支給されるという非常に有益な支援策です。

本記事では、教育訓練給付制度の基本的な仕組みから、具体的な受給条件、支給額の計算方法、講座の選び方、申請手続きの流れまでを幅広く解説していきます。

さらに、実際の活用事例や制度改正の動向にも触れ、制度を最大限に活用するためのポイントもご紹介します。

この記事を通して、教育訓練給付制度の理解が深まり、将来設計やキャリアアップに向けた一歩を踏み出すための明確な道筋を描くことができるでしょう。

教育訓練給付の基礎知識と制度概要

教育訓練給付をもらえる条件

教育訓練給付金を受給するためには、雇用保険の加入期間や受講講座の内容など、複数の要件を満たしている必要があります。

受給には制度上のルールを正しく理解し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。以下に代表的な条件をまとめてご紹介します。

• 原則として、雇用保険に通算1年以上加入していること（初回利用時）。2回目以降の申請では、原則3年以上の加入が必要です。
• 受給対象となる講座であり、かつ指定講座を修了していること（講座終了時に修了認定が必要）。指定講座は厚生労働省が定めたリストに基づきます。
• 受講前にハローワークへ出向き、「受給資格確認申請書」を提出するなどの事前手続きが完了していること。事後申請では給付対象外となる可能性があるため注意が必要です。
• 離職中の方は、受講開始日時点で離職後1年以内であることも条件のひとつです。

なお、受給条件は講座の種類（一般・特定一般・専門実践など）や個人の雇用保険加入状況によっても細かく異なります。

そのため、申請前には厚生労働省の公式ホームページや教育機関の案内、ハローワークの担当窓口を活用し、最新情報を確認することが非常に重要です。

雇用保険の加入年数別支給率と支給上限

支給率や支給上限額は、講座の区分ごとに大きく異なっており、給付制度の種類に応じて細かく定められています。

制度の違いを理解することで、自己負担を最小限に抑えながら、効率的に学習を進めることが可能になります。

以下に、それぞれの給付制度における支給内容の概要を示します。

• 一般教育訓練給付：受講費用の20％が支給され、上限は10万円です。なお、特定一般教育訓練講座の場合は、受講費用の40％（上限20万円）まで支給率が引き上げられます。さらに、2024年10月1日以降に受講を開始し、資格取得や就職などの条件を満たした場合は、追加で＋10％（上限5万円）が支給され、最大50％・年間25万円まで拡充されます。民間の通信講座や資格取得講座が主な対象です。
• 専門実践教育訓練給付：受講費用の50％が支給され、資格取得や就職で条件を満たせば＋20％加算され、最大70％支給。なお、2024年10月以降に開始した講座では、条件を満たすことでさらに＋10％が加算され、最大80％（上限64万円/年）まで拡充されています。年間上限は56万円、最長3年分まで支給されます。

また、専門実践教育訓練給付では、受講費用の50％が支給され、講座修了後1年以内に資格取得や就職を果たすと、さらに20％が追加支給されます（最大支給率70％）。

また、失業中で一定の条件を満たせば、生活支援として「教育訓練支援給付金」も受給でき、これらを合わせると実質的な支援は80％以上になることもあります。

なお、雇用保険の加入年数によって支給率そのものが変動するわけではありませんが、2回目以降の制度利用には「前回の利用から3年以上経過していること」や「新たな対象講座であること」など、追加の要件を満たす必要があります。

そのため、繰り返し利用を検討している方は、事前にハローワークや講座提供機関で詳細な確認をしておくことが推奨されます。

教育訓練休暇給付金の金額と計算方法

教育訓練給付制度とは別に、「教育訓練休暇給付金」という制度も存在します。

これは、労働者が企業の定めた有給の教育訓練休暇を利用して、一定の教育訓練を受講した場合に、雇用保険の給付として支給される制度です。

通常の教育訓練給付とは異なり、企業の制度設計や就業規則に基づいて休暇が付与される点が特徴です。

• 支給額は「賃金日額の80％ × 取得日数」で計算されます。
• この賃金日額は直近の賃金から算出され、年度ごとに上限額・下限額が定められているため、実際の支給額は個人差があります。
• たとえば、日額1万円の賃金に対して5日間の教育訓練休暇を取得した場合、支給額は4万円（1万円×80％×5日）となります。

ただし、この制度を活用するためには、勤務先の企業が教育訓練休暇制度を導入している必要があります。

すべての企業がこの制度を採用しているわけではないため、まずは人事部や労務担当者に制度の有無を確認することが重要です。

また、支給対象となる教育訓練の内容についても一定の基準が設けられているため、事前にハローワークに相談して講座の適格性を確認するのが望ましいです。

対象となる教育訓練経費の具体例

給付対象となる教育訓練経費には、実際に受講のために必要となる費用が多く含まれています。対象となる費用の範囲をしっかりと把握しておくことで、想定外の自己負担を防ぐことができます。

• 受講料・入学金：講座受講にかかる基本的な費用であり、最も主要な支給対象。
• 教材費：講座指定のテキストや問題集、参考資料などの購入費用。
• 実習費：実技や現場演習を含む講座の場合の追加費用。
• 試験手数料：講座内で行われる検定や修了試験に必要な受験料。
• スクーリング費：一部の通信講座で必要な通学形式の授業費用。

これらの経費は、講座が厚生労働省の指定講座として登録されていることを前提に、正式に領収書が発行されている必要があります。

一方で、以下のような費用は給付対象外となるため注意が必要です。

• 通学にかかる交通費やガソリン代
• 食事代や日用品等の生活費
• パソコンやタブレットなどの学習用機器の購入費用
• インターネット通信費や光熱費

講座申し込みの際には、提供事業者からの費用内訳書や見積書を入手し、何が対象となり何が対象外となるのかを事前に確認しておくと安心です。

特に自己負担額を正確に把握することは、教育訓練給付制度を無駄なく活用するうえで非常に重要なステップです。

一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付の違い

教育訓練給付制度には複数の種類がありますが、なかでも「一般教育訓練給付」と「専門実践教育訓練給付」は多くの社会人に利用されている代表的な制度です。

この2つの制度には支給率・上限金額・対象講座・受給条件などに明確な違いがあるため、自分のキャリアプランやライフステージに合わせて適切に選ぶことが非常に重要です。

以下の表で主な違いを整理しておきましょう。

項目	一般教育訓練給付	専門実践教育訓練給付
対象者	雇用保険の被保険者期間が1年以上（初回）	原則2年以上（再就職者など一定条件で1年以上でも可）
支給割合	20％（受講費用の）	50％（修了後の就職達成で追加20％、最大70％）
支給上限	10万円	年間64万円（最長3年で最大192万円）
対象講座	通信講座、短期スキル講座、民間資格など	国家資格取得講座、専門学校、大学課程など

一般教育訓練給付：手軽に始めやすい入門的な制度

一般教育訓練給付は、キャリアアップの第一歩として最適な制度です。対象講座が多く、短期で修了できるものも多いため、はじめて自己投資を検討する人にとって利用しやすいのが特長です。

支給割合は20％と控えめですが、費用負担を軽減しながら学びをスタートできる入り口として機能しています。

専門実践教育訓練給付：長期・本格的なキャリア形成を支援

一方、専門実践教育訓練給付は、長期的な教育や国家資格取得を目指す人に適した制度です。支給額が大きく、修了後に資格取得や再就職を果たした場合には、追加で20％分が上乗せ支給される仕組みがあります。

たとえば、看護師・保育士・社会保険労務士・中小企業診断士などの資格取得講座の多くがこの制度の対象となっており、将来的な転職・独立・専門職就労を見据えた本格的な自己投資に活用されています。

自分に合った制度を選ぶために

どちらの制度を選ぶかは、現在の就業状況や学習にかけられる時間、キャリアの目的によって異なります。

「初めて学習に挑戦する」「費用を抑えて短期間でスキルアップしたい」といった方には一般教育訓練給付が向いており、

「将来の資格取得や転職を見据えて本格的に学びたい」という方には専門実践教育訓練給付が適しています。

制度の違いを正しく理解し、自分の目標に合った講座とあわせて選択しましょう。

専門実践教育訓練給付金で学べる指定講座

専門実践教育訓練給付金の対象となる講座は、厚生労働省が毎年指定・更新しており、実践的かつ高度なスキル習得を目的とした講座が数多く含まれています。

以下のような分野で、キャリアアップや資格取得に直結する講座が受給対象となっています。

• 看護師・准看護師・介護福祉士・保育士などの医療・福祉・保育系国家資格を取得するための専門学校
• IT・Web・プログラミング・AI・データ分析などの最新技術を学べる民間スクールや専門課程
• 中小企業診断士、社会保険労務士、宅地建物取引士、FP（ファイナンシャル・プランナー）など、就職・転職市場で需要の高い国家資格取得対策講座
• 理学療法士、作業療法士、栄養士、臨床検査技師など医療技術職の専門教育
• ビジネスマネジメントや経営戦略を学べる大学の夜間・通信制課程や専門職大学院

これらの講座は、一定の受講期間やカリキュラム基準を満たしたうえで、厚生労働省が「指定講座」として認定したものであり、給付対象とするには原則として「修了」が必要です。

最新の指定講座リストや詳細条件については、厚生労働省が提供する「教育訓練給付制度検索システム」から、講座名・地域・分野などで検索できます。

給付申請を検討する際は、必ずこのシステムで該当講座の有無を確認しておきましょう。

45歳以上が教育訓練給付を利用する場合のポイント

教育訓練給付制度には年齢による制限は設けられていませんが、45歳以上の受給希望者は、制度の利用にあたっていくつかの特有の注意点や工夫が求められます。

以下に挙げるような視点から、自分に合った活用方法を検討することが大切です。

• 再就職支援の一環としての色合いが強いため、今後のキャリアに直結する「実務につながる講座選び」が非常に重要です。職務経歴との親和性が高い国家資格や、地域で需要が高い介護・保育・ITなどの講座が推奨されます。
• 雇用保険の加入期間や離職理由の条件を満たしているか、申請前にハローワークで事前確認しておきましょう。特に再就職を目的とした場合、失業後の申請タイミングが重要になるケースもあります。
• 高年齢者雇用安定法に基づく再就職支援施策と連携することで、教育訓練給付制度をより有利に活用できる場合があります。たとえば、地域の再就職支援センターやジョブカフェとの併用でキャリア相談や就業支援が受けられることもあります。
• 45歳以上の求職者は、年齢的な不安や家庭の事情などを抱えるケースも多いため、オンライン講座や短期集中型のプログラムなど、生活スタイルに合った講座選びも重要な要素となります。

このように、制度そのものに年齢制限はなくとも、ライフステージに合った選択と戦略が不可欠です。特にハローワークやキャリアコンサルタントとの相談を通じて、自分の現状と将来の希望をすり合わせながら、無理のない学びの計画を立てることが成功のカギとなります。

教育訓練給付の活用方法と申請ステップ

働きながらでも活用できるオンライン講座選び

在職中に教育訓練給付を活用したい方にとって、オンライン講座は非常に魅力的な選択肢となります。

仕事と学習を両立させるためには、通勤や生活のスキマ時間を有効活用できる学習スタイルが求められます。

その点、オンライン講座は柔軟な学習スケジュールやマルチデバイス対応など、忙しい社会人に最適な環境を提供してくれます。

• 自宅や職場の空き時間など、場所や時間を問わず学習ができる
• 通信講座でも教育訓練給付制度の対象となる講座が多数あり、費用の補助を受けながら学べる
• スマホやタブレット対応の講義動画や学習アプリが豊富に揃っており、通勤中や休憩時間にも活用できる
• オンライン添削やチャットによる質問対応など、サポート体制も整っており、対面講座に引けを取らない充実度

さらに、在宅勤務や育児・介護との両立をしている方にとっても、無理のないペースで受講が続けられるのが大きな利点です。

講義の視聴やテストの受験も自分のペースで行えるため、ライフスタイルに合わせた学習が可能です。

教育訓練給付に指定されている通信講座には、「フォーサイト」「ユーキャン」などがあり、それぞれ教材の特長やサポート内容が異なるため、事前に資料請求や無料体験を通じて比較検討することをおすすめします。

在職中に申請する際の注意点と会社への伝え方

在職中に教育訓練給付を利用する場合、業務との両立が前提となるため、申請手続きのタイミングや職場への伝え方には十分な配慮が必要です。

制度を最大限に活用するためには、事前準備と社内調整が欠かせません。

• 講座開始前にハローワークで「受給資格確認」を行うことが最優先です。申請が遅れると給付が受けられないケースもあるため、早めにスケジュールを立てて対応しましょう。
• 勤務時間や業務繁忙期を避けるよう、無理のない学習計画を組むことが重要です。夜間や休日に受講できる講座を選ぶことで、仕事と両立しやすくなります。
• 制度利用に不安がある場合や勤務先の規則に不明点がある場合は、会社の人事部や上司に相談し、必要に応じて就業規則や研修支援制度と照らし合わせて確認しましょう。
• 企業によってはキャリアアップ助成制度や研修費補助を併用できるケースもあるため、教育訓練給付と合わせて活用することで、より負担の少ない形で受講が可能になります。

多くの企業は従業員の成長を応援する姿勢を持っており、制度の趣旨や学習内容を丁寧に説明すれば理解を得やすい傾向にあります。

誠意をもって説明し、可能であればスケジュールや受講計画も文書で提示するとよりスムーズです。

資格取得で人気の講座と給付対象

教育訓練給付の対象となる資格講座の中でも、特に人気の高いものは実務に直結し、転職やキャリアアップに有利な国家資格や専門資格です。

以下に挙げる資格は、幅広い業界で活用されており、教育訓練給付制度を活用する受講者の多くに支持されています。

• 社会保険労務士：労務管理や社会保険制度の専門家として、企業の人事部門などで高いニーズがある国家資格。
• 中小企業診断士：経営コンサルタントとして活動できる唯一の国家資格で、独立開業や副業にも有利。
• 宅地建物取引士：不動産業界では必須とされる国家資格で、資格手当なども見込める。
• 保育士・介護福祉士：福祉や保育分野で安定的なニーズがあり、転職・再就職にも強い。
• 行政書士やファイナンシャルプランナー（FP）なども人気が高く、ライフプラン支援や起業・副業に活用されています。

これらの講座は多くが教育訓練給付制度の対象講座に指定されており、受講費用の20〜70％程度が給付されるため、費用負担を大きく軽減しながら学習に取り組めるのが魅力です。

特に専門実践教育訓練給付の対象となる講座では、修了後に就職・転職が伴えば追加の給付（最大90％）を受けられるケースもあります。

なお、実はオンライン専門の通信講座で教育訓練給付の対象に指定されているところは実は多くはありません。

講座の多くが対象となっているのは、大手のユーキャンやフォーサイトなどに限られるのが現状です。

教育訓練給付制度がキャリア形成に与える影響

本制度は単なる費用補助にとどまらず、キャリア設計や将来の人生設計にも大きな影響を与える可能性を秘めています。

制度を上手に活用することで、自己投資へのハードルが下がり、中長期的な視点でのキャリア構築がより現実的になります。

• 給付を利用することで学習コストを大幅に抑えられ、学び直しや新しい分野への挑戦がしやすくなる。結果として、自信を持ってキャリアチェンジに臨むことが可能になります。
• 国家資格などの取得は、単に資格を得るだけでなく、企業内での昇進、部署異動、専門職への転向、さらには副業や独立など、将来的なキャリアの幅を広げる要因となります。
• 長期的なスキルアップを継続することは、自身の市場価値を高めるうえでも重要です。また、ライフイベント（転職、結婚、育児など）に柔軟に対応できる力を養うことにもつながります。
• 給付制度を活用して得た知識やスキルが、新しい仕事の選択肢を生み出し、自己効力感を高めることにも寄与します。

このように教育訓練給付制度は、単なる補助金制度にとどまらず、将来の可能性を広げるための強力なツールです。

ハローワークやキャリアコンサルタントと綿密に相談しながら、自分にとって最適な講座とキャリアの方向性を見定め、戦略的に制度を活用していくことが成功のカギとなります。

受給までのスケジュールとハローワーク手続き

教育訓練給付金を受給するまでには、事前の準備から申請、支給までいくつかのステップがあります。申請手続きには期日が設けられているため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

1. 対象講座を調べて申し込み：まずは、厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」などで、給付対象となる講座を探し、受講申込を行います。講座内容や受講料、スケジュールなどもこの時点で確認しておきましょう。
2. 講座開始前にハローワークで「受給資格確認申請書」を提出：受講開始前に必ず最寄りのハローワークに出向き、受給資格確認の手続きを行います。申請には本人確認書類や講座の案内資料、雇用保険に関する書類などが必要となります。
3. 講座修了後、修了証明書と必要書類をハローワークに提出：無事に講座を修了したら、修了証明書や領収書、振込先口座の通帳コピーなど、所定の書類一式を揃えて再度ハローワークへ提出します。
4. 約1〜2ヶ月で指定口座に振り込み：提出書類に不備がなければ、ハローワークによる審査後、原則として1〜2ヶ月以内に指定の銀行口座へ給付金が振り込まれます。

必要書類には、以下のようなものがあります。

• 本人確認書類（運転免許証、マイナンバーカード等）
• 振込先口座の通帳またはキャッシュカードのコピー（口座番号と名義が確認できる面）
• 受講料の支払領収書や明細書
• 講座修了証明書
• 雇用保険被保険者証や離職票など（申請者の状況により異なる）

手続きは煩雑に感じるかもしれませんが、事前に必要書類を整理し、余裕を持って準備を進めることで、スムーズに給付を受けることができます。

ハローワークの窓口では担当者が丁寧に対応してくれるため、不明点があれば遠慮せずに相談しましょう。

申請書類の書き方とよくある不備

正確な申請書類の作成は、スムーズな給付金受給を実現するうえで極めて重要です。

提出書類に不備があると、再提出を求められたり、給付が遅延したりする可能性があるため、事前にしっかり確認することが欠かせません。とくに初めて申請する方は、書類の様式や記載方法を丁寧にチェックしましょう。

よくある不備の例：

• 修了証明書の添付漏れや記載内容の誤り（講座名、受講期間など）
• 領収書の金額や支払日付が、実際の受講履歴と食い違っている
• 通帳コピーに口座番号や名義が不鮮明で読み取れない（カラーコピーでの提出が推奨）
• 申請者情報の記載漏れや記入ミス（漢字とカナの表記揺れなど）
• 受給資格確認申請書と講座申込書で講座名が一致していない

これらの不備を避けるためには、ハローワークで配布されている「記入例付きの書き方見本」や「提出書類チェックリスト」を活用するのが有効です。

とくに修了証明書や領収書は原本を提出する必要があるため、コピーを取って控えを残しておくことも忘れずに行いましょう。

また、提出前には家族や知人、またはキャリアコンサルタントなどに確認してもらうのも一つの方法です。第三者の目で見てもらうことで、自分では気づけなかったミスが発見できる可能性があります。

実際に支給された社会人3年目の学習ストーリー

社会人3年目のAさんは、フルタイムで働きながらキャリアアップを目指し、中小企業診断士講座に挑戦しました。

日中は業務に従事しながらも、夜間や週末の時間を有効活用し、効率的に学習を進めました。以下は、Aさんが給付制度を活用した実際の流れです。

• 在職中にハローワークにて受給資格確認を完了し、制度利用の下準備を整備
• 通勤時間や昼休みなどのスキマ時間も活用して、毎日継続的な学習を実施
• 無事に講座を修了し、修了証を取得した後、講座費用の70％に相当する約20万円の支給を受ける

Aさんは、「自己投資の一歩として挑戦してよかった。学び直しがこんなに現実的な選択肢になるとは思わなかった」と語っており、制度活用による経済的支援が大きな後押しになったことを実感しています。

費用対効果を比較分析

教育訓練給付制度は、支出に対して極めて高い効果を発揮する制度であり、限られた時間と資金で最大限の成果を得たいと考える社会人にとって、非常に有効な支援策といえます。

特に、資格取得にかかる費用の大半を国が補助することで、経済的な負担を大幅に軽減しつつ、キャリア形成における大きな一歩を踏み出すことが可能です。

• 【具体例】社労士講座の場合：総費用15万円 → 給付により実質負担は5万円に（70％給付）。この差額10万円は非常に大きく、学習へのモチベーションにも直結します。
• 資格取得後には、年収アップや希望職種への転職・就職成功といった実利的なリターンが期待できます。特に専門職・国家資格の場合は、資格手当や昇進のチャンスにもつながるため、長期的な収入増加も見込まれます。
• 「学び損」や「ミスマッチ」を防ぐためには、事前の講座比較や制度の詳細確認が不可欠です。受講前に資料請求や無料体験、口コミのチェックを行い、自分に最適な講座を選ぶ努力がリターンの最大化に寄与します。
• また、費用面だけでなく、時間投資に対する成果（学習期間と得られる資格の価値）も比較しておくと、より明確に自分の学習戦略を立てやすくなります。

このように、数字に基づいた現実的な費用対効果を把握しておくことで、制度を活用した自己投資がいかに有効であるかを可視化することができます。

教育訓練給付の最新動向と今後の制度改正

政府はキャリア形成支援を社会全体で後押しする姿勢を強めており、教育訓練給付制度も時代のニーズに合わせて進化し続けています。2024年度以降、特に労働市場の急速な変化に対応するために、制度の見直しと拡充が随時行われています。

• 2024年度より、一部講座について給付率が20％から40％、または50％から70％に引き上げられるなど、受講者の実質負担が大幅に軽減されるようになりました。これにより、より多くの人が学習機会を得やすくなっています。
• DX（デジタル・トランスフォーメーション）人材やAI・データサイエンスなどの分野は、産業界からの人材需要が高まっており、これらに対応する講座の指定数が急速に拡大しています。新たな産業構造への対応力を高めるため、制度は技術革新分野を重点支援対象と位置づけています。
• 働きながらでも無理なく学べるよう、オンライン対応講座の増加、学習管理ツールの提供、サポート体制の充実など、「学びの環境整備」も重要な政策課題となっており、政府は民間教育機関と連携しながら整備を加速しています。
• また、中長期的にはフリーランスや副業人材への対応、地方在住者の学習支援といった視点からの制度見直しも検討されており、将来的に給付対象者の拡大や柔軟な給付設計が導入される可能性があります。

こうした流れを受けて、受講者側も制度動向を把握し、自身のスキルアップやキャリア設計に役立つ情報を定期的にチェックすることがますます重要となっています。

制度の変更は年度ごとに告知されるため、厚生労働省やハローワークの最新情報をこまめに確認し、自分に最適なタイミングでの活用を検討しましょう。

2025年版まとめ：教育訓練給付制度を賢く使うためのポイント

• 自分の雇用保険加入状況と照らし合わせながら、条件と支給内容を正確に把握する
• 講座の内容だけでなく、給付率・サポート体制・通いやすさなども考慮して選定する
• 受講前のハローワークでの申請・確認を忘れず、余裕を持ったスケジュールを確保する
• 制度改正によって新たに対象となる講座も出てくるため、最新の講座リストや給付基準を必ずチェックする
• オンライン講座や短期集中型講座など、生活スタイルに合った学習方法を見つけて継続しやすい環境を整える

自分の未来の選択肢を広げるためにも、制度の恩恵を最大限に活用しましょう。変化の時代においては、知識と行動が最大の武器です。

監修者プロフィール

管理人は宅地建物取引士・行政書士・社会保険労務士・中小企業診断士をはじめ10資格以上を保有し、10年にわたり社会保険労務士事務所として活動してきました。

現在は資格取得ノウハウや実務経験をもとにを執筆・監修し、受験生へ最新の学習法とキャリア情報を発信。

自身の体験をもとに“リアルで役立つ資格情報”をお届けします。

【資格取得歴】
2008年2月　簿記2級
2008年10月　販売士2級
2009年12月　宅建士
2010年11月　社会保険労務士
2011年1月　行政書士
2011年3月　FP2級
2011年12月　中小企業診断士
2012年7月　世界遺産検定1級
2013年4月　年金アドバイザー2級
2014年3月　特定社会保険労務士

【実務歴】
2012年10月中小企業診断士登録
2013年4月社会保険労務士開業
以後10年間社会保険労務士として活動し現在はWebサイト運営に専念

監修者