まず結論から言うと、安定収入を狙うなら社労士、スポット高単価案件を狙うなら行政書士です。
両資格とも特徴が異なるため、自分のキャリアやライフスタイルに合わせて選択するのが賢明です。
さらに、どちらの資格も活かし方によっては年収レンジが大きく変わり、企業勤務か独立開業か、地域性やターゲット顧客層によっても結果が大きく異なります。
自分が将来どのような働き方を望むか、安定性を優先するのか、それともリスクを取って高収益を目指すのかを明確にすることが重要です。
本記事では収入、難易度、将来性など多角的に比較し、さらに成功事例や実際のキャリアプランも交えて情報をまとめました。
記事のポイント
- 社労士は顧問契約で安定収入が見込める
- 行政書士は入管・建設など高単価案件で収益化
- ダブルライセンスで収益性と顧客価値が向上
- 市場動向や法改正でニーズが変化する点に注意
【参考】代表的な社労士通信講座
※社労士通信講座については以下の記事も参考にしてみてください。
※行政書士通信講座については以下の記事も参考にしてみてください。
行政書士と社労士どっちが稼げる？結論と前提条件
行政書士と社労士の収益構造は大きく異なります。
社労士は企業との顧問契約で安定的な月収が得られるのに対し、行政書士はスポット案件が主体で単価は高いが変動が大きいのが特徴です。
さらに、収益構造を理解するには開業形態、提供サービスの種類、業務効率化の手法なども考慮する必要があります。
たとえば、社労士は顧問契約に加えて助成金申請や就業規則作成といった高単価業務を組み合わせることで収入の幅を広げやすく、一方で行政書士は入管業務や建設業許可などの専門分野に特化することで高単価案件を継続的に獲得することが可能です。
また、独立か勤務か、都市部か地方かといった環境の違いも収益に大きな影響を与えるため、自身のキャリアプランや市場環境を見据えた戦略設計が欠かせません。
これらの前提を理解した上で、自分に合った稼ぎ方や成長戦略を考える必要があります。
管理人の視点
ちなみに「どちらが稼げる？」と考えるのであれば、「どちらでも稼ぐ」というやり方も大いにありです。
行政書士と社労士は、試験内容的にも実務的にも親和性が高く実際このダブルライセンスで活動している方も多くいます。
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
平均年収と分布の違い（独立勤務）
行政書士は平均300万～600万円、社労士は勤務で400万～600万円、独立では1000万円を超えるケースもあります。
顧問契約の有無が大きな差を生むのが社労士の特徴です。
さらに詳細を見ると、行政書士は開業初期は収入が不安定で、案件獲得数やネットワーク構築により収入が大きく変動する傾向があります。
一方で、社労士は企業顧問として契約を複数持つことで毎月安定したキャッシュフローを生み出せるため、計画的な事業運営が可能です。
トップ層では行政書士で年収1500万円以上を得る人や、社労士で複数事務所を経営して2000万円超の収入を得ている例も存在します。
このように、資格ごとだけでなく、案件の種類、地域性、そして個人の営業力・専門性の高さによっても年収分布は大きく広がるのが現状です。
食べていけるのか必要売上ラインと固定費
独立1年目で生活を安定させるには、行政書士は月商50万円程度、社労士は顧問10社前後が目安です。
経費は事務所家賃や広告費など月10〜20万円程度が想定されます。
さらに詳細に見ると、行政書士の場合は申請業務や書類作成の単発案件が多いため、月ごとの売上変動が大きく、継続案件や顧問契約をいかに取り込むかが安定のカギとなります。
一方、社労士は顧問契約が基本であるため、1社あたりの契約単価を上げたり、就業規則や助成金業務を追加することで収益を拡大できます。
初期投資としてパソコンや業務ソフト、資格登録費、名刺やホームページ制作なども必要となり、総額で数十万円規模になることが多いです。
こうしたコストを踏まえ、固定費を抑えつつ効率よく売上を積み上げる戦略が必要不可欠です。
試験難易度と学習時間の比較
行政書士は600〜800時間、社労士は1000時間程度の学習が必要です。
社労士の方が広範囲で難易度が高めとされます。
さらに、行政書士試験は憲法、民法、行政法などの法令分野が中心で、比較的範囲が明確なため独学者も一定数合格しています。
一方、社労士試験は労働法、社会保険法、一般常識など幅広い分野にまたがり、条文理解に加えて実務的な制度知識も問われるため、効率的な学習計画が必要です。
また、どちらも暗記力だけでなく事例問題への応用力が重要であり、特に社労士は択一・選択問題に加え難易度の高い選択式が合否を左右します。
これらを踏まえ、合格までに必要な勉強時間や戦略は個々人のバックグラウンドにより大きく変わりますが、予備校や通信講座を活用して計画的に学習することが成功の近道と言えます。
取得順序の戦略どちらから始めるべきか
ダブルライセンスを目指すなら、行政書士→社労士の順がおすすめです。
基礎知識を行政書士で固めることで社労士学習がスムーズになります。
特に、行政書士の勉強を通じて民法や行政法の基礎を習得しておくことで、社労士で必要とされる法的思考力が自然と身につく点がメリットです。
また、先に行政書士として開業し実務経験を積むことで、顧客との対応スキルや営業力も高まり、その後の社労士業務に活かせます。
逆に企業勤務の経験が豊富な場合は社労士を先に取得し、その後行政書士を追加するという戦略もあり、自分のバックグラウンドや目指す業務内容によって順序を変える柔軟さも重要です。
このように、順序選択はキャリア設計と深く関わるため、長期的な目標を明確にした上で判断することが成功につながります。
【登録要件】免除制度と実務研修の違い
行政書士は合格後すぐ登録可能ですが、社労士は2年以上の実務経験または事務指定講習が必要です。
開業スピードに差が出ます。さらに、社労士の場合は実務経験を積むために企業の人事部や社会保険労務士事務所での勤務経験が求められるケースが多く、これにより業務の実態や顧客対応のノウハウを身につけられるというメリットがあります。
一方、事務指定講習は短期間で実務の基礎を学べる制度ですが、費用や時間の確保が必要であり、受講によって開業準備が前倒しできる一方で講習内容を実務にどう活かすかが重要な課題になります。
行政書士は比較的スピーディーに登録できるため早期開業が可能ですが、経験不足による案件獲得の難しさが課題となることもあります。
このように、登録要件や研修制度は単なる手続きではなく、その後のキャリア形成や事務所経営に直結する大切なステップといえます。
【将来性の比較】市場規模と法改正トレンド
入管業務拡大で行政書士は需要増、社労士は働き方改革関連で安定需要が見込めます。
AI化で定型業務は減少しコンサル型業務が重要となります。
さらに、行政書士分野では外国人受け入れ拡大や企業活動の多様化に伴い、入管・企業法務関連の需要が継続的に伸びると予測されます。
社労士においても、テレワーク導入や長時間労働是正、同一労働同一賃金といった新しい働き方への対応が求められ、これらの制度設計やコンサルティングへのニーズは増加傾向です。
また、少子高齢化の進行によって労働力人口が減少する中、人材確保や福利厚生制度の改善に関する相談も増え、社労士の役割が拡大しています。
将来性を考える際には、市場規模の拡大だけでなく、自身がどの分野に特化し差別化できるかを戦略的に検討することが重要です。
ダブルライセンスの転職価値と相乗効果
両資格を持つことで、許認可×労務管理のワンストップ対応が可能。
中小企業支援やコンサル分野で高評価です。さらに、行政書士と社労士を兼ね備えることで、企業の新規事業立ち上げや人事制度設計、労務リスク対応まで一貫して提供できるため、顧客満足度が大幅に向上します。
特に中小企業では専門家を複数雇うリソースが限られているため、一人で包括的なサービスを提供できる士業は非常に重宝されます。
転職市場でも、法務と労務の両面からサポートできる即戦力として評価が高く、コンサルティングファームや大手企業の管理部門へのキャリアアップにも有利です。
ダブルライセンスは独立開業時だけでなく、雇用市場での価値をも引き上げる強力な武器となります。
行政書士と社労士どっちが稼げる要因別比較
ここからは収益モデルや顧客層などを要因ごとに比較します。
具体的には、どのような契約形態で安定収入を確保しているのか、単発案件の収益性やリスクはどの程度なのか、さらには案件の受注経路や顧客との関係構築の仕方についても掘り下げていきます。
独立士業として事務所を運営する際には、こうした収益モデルの特徴を理解し、自分に合った戦略を立てることが非常に重要です。
収益モデルの違い顧問契約vs申請スポット
社労士は顧問契約で安定収入＋助成金、行政書士はスポット高単価案件が中心です。
社労士は企業の定期的な労務管理や社会保険手続きを包括的にサポートするため、毎月の顧問料収入が確保できるのが大きな強みです。
一方で行政書士は、建設業許可や入管業務といった1件あたりの単価が高い案件で収益を上げることが多く、案件の獲得タイミングによって収入が大きく変動するリスクを伴います。
ただし、複数の専門分野に特化したり企業と継続契約を結んだりすることで、行政書士でも収益の安定化が可能となります。
案件単価の相場と原価構造（就業規則許認可等）
行政書士：建設業許可5～20万円、入管業務10～30万円。
社労士：就業規則20～50万円、助成金成果報酬10～20％。
社労士の方が原価率が低く利益率が高めです。
さらに具体的に見ると、行政書士業務は案件ごとに必要書類が多く、手続きや確認作業にかかる時間も多いため、1件あたりの実労働時間が長くなりがちです。
その分単価は高めに設定されていますが、実際の利益率は思ったよりも低下するケースがあります。
一方社労士業務は、顧問契約で定型業務が中心になることが多く、効率化や外注を取り入れやすい点が特徴です。
助成金業務は成功報酬型で高リターンを得られる一方、支給審査や受給のタイムラグがあるためキャッシュフロー管理が必要です。
このように、同じ士業でも原価構造や利益率の考え方が大きく異なるため、どの業務にリソースを投入するかは収益性に直結します。
顧客ターゲットの違い中小大企業と個人
行政書士は個人・小規模事業が中心、社労士は中小～大企業が主要顧客です。
さらに、行政書士の顧客には個人事業主やスタートアップ、在留資格関連で外国人個人なども多く含まれ、幅広い案件に対応する必要があります。
対して社労士は、従業員を抱える企業との関係構築が重要で、継続的な顧問契約を前提とした深い信頼関係を築くことが求められます。
また、企業規模が大きくなるほど労務リスクや制度設計の複雑性が増し、社労士の専門性がより高く評価される傾向があります。
このように、ターゲット顧客層の違いは収益モデルやサービス提供のスタイルにも直結しており、自身がどの市場で活動したいのかを明確にすることが成功への第一歩です。
【地方or都市】稼ぎ方の違い
地方では行政書士は農地や建設案件、社労士は広域オンライン顧問契約が有効です。
さらに、地方における行政書士は地域密着型のサービスを提供し、農地転用や相続、地域企業の許認可取得など、地域特有の需要に応えることで収益を確保できます。
一方社労士は、地域企業の採用難や働き方改革の導入サポートなどをオンライン顧問契約で広域的に対応し、物理的距離を超えたサービス展開が強みです。
また、地方では口コミや地元ネットワークを活用した集客が効果的であり、行政書士は自治体との連携、社労士は商工会議所や経営者団体とのつながりを通じて顧客基盤を広げられます。
このように、都市部とは異なる戦略を構築することで地方でも高収益を実現する可能性があります。
【集客チャネル比較】紹介・広告・SNS・士業連携
行政書士はSEO・紹介、社労士は紹介・セミナー・士業連携が強みです。
さらに、行政書士はホームページやブログによる情報発信、ポータルサイトへの登録、地域での無料相談会などを通じて顧客獲得を進めるケースが多く、SEO対策を駆使して専門性をアピールする手法が有効です。
一方社労士は、経営者向けセミナーや研修の開催、既存顧客からの紹介、他士業とのパートナーシップによる案件共有などが主要なチャネルとなります。
また、どちらの資格でもSNSを活用したブランディングやコミュニティ作りが重要視されており、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型集客が成果を上げています。
このように複数のチャネルを戦略的に組み合わせることで、安定した顧客基盤を構築しやすくなります。
値付け交渉と見積りの作り方で利益率を上げる
付加価値を示し、オプション設定や複雑案件で単価アップが鍵です。
さらに、見積り作成の際には単なる作業時間や人件費の積算ではなく、顧客に提供する成果や安心感、専門性の価値を含めて説明することが重要です。
例えば行政書士であれば複雑な許認可申請に関するリスク対応、社労士であれば労務トラブル防止のコンサルティングなど、成果を明確に打ち出すことで高単価でも納得してもらえる可能性が高まります。
加えて、基本料金に追加オプションを組み合わせたパッケージ化を行い、顧客が選びやすいメニューを提示することも利益率向上の有効な手段です。
交渉時には値下げではなく付加価値の追加を提案し、価格に見合うサービス内容を具体的に伝えることが、信頼と収益の両立につながります。
外注化とチーム運営で売上を伸ばす方法
補助者雇用や外注で定型業務を任せ、士業本人は高付加価値業務に集中。
さらに、業務フローを標準化し、誰でも遂行できる作業をマニュアル化することで、チーム全体の生産性を向上させることができます。
外注先には専門スキルを持つパートナーやクラウドワーカーを活用し、繁忙期や案件の種類に応じて柔軟にリソースを調整する仕組みが有効です。
また、チーム運営では定期的なミーティングを通じて情報共有を徹底し、進捗や課題を可視化することで、全員が同じ方向性で業務を進められます。
こうした体制構築により、士業本人は高度なコンサルティングや顧客対応といった価値創出業務に集中し、事務所全体の売上拡大につなげることができます。
AI自動化の影響と高付加価値領域
電子申請・AI化で事務作業は効率化。人事制度設計やコンサル領域の価値が上昇。
さらに、AIは膨大な書類作成やチェック業務を短時間で処理できるため、行政書士や社労士の業務負担を大幅に軽減します。
これにより士業本人は顧客対応や戦略的なコンサルティングといった高付加価値領域に集中でき、サービスの質向上と収益性向上の両立が可能になります。
また、AI導入はコスト削減だけでなく、業務の標準化やエラー防止にも寄与し、顧客満足度の向上にも直結します。
一方で、AIでは対応できない複雑な法的判断や顧客の個別相談は人間の専門性が不可欠であり、こうした領域こそが今後の成長の核となります。
行政書士と社労士どっちが稼げる案件別粗利率モデル
社労士の顧問契約は粗利率が高く安定、行政書士はスポットだが高単価案件で稼げます。
さらに、社労士の顧問業務は毎月の固定収入に加えて助成金や人事制度構築といった高利益案件を組み合わせることで、安定したキャッシュフローと高い収益性の両立が可能です。
一方、行政書士は案件ごとに労力は大きいものの、建設業許可や入管業務などの専門分野に特化することで1件あたりの利益額を大きくすることができます。
また、どちらも効率的な業務フローの構築や外注化を取り入れることで粗利率をさらに改善する余地があり、戦略次第で収益構造は大きく変化します。
具体事例で比較～開業初年度から3年目の売上推移シミュレーション
行政書士：1年目200～400万、3年目500～700万。
社労士：1年目300～500万、3年目800～1000万。
さらに詳細に見ると、行政書士は開業初期は顧客基盤が少なくスポット案件中心であるため、2年目以降にネットワーク構築やリピーター獲得によって売上が徐々に安定して伸びる傾向があります。
3年目には専門分野に特化することで単価を引き上げる事例も多く見られます。
社労士は顧問契約が積み上がるため、1年目からある程度安定した収入を確保しやすく、2～3年目には助成金やコンサル業務を組み合わせることで飛躍的な売上増加が可能です。
このシミュレーションは標準的な事例ですが、積極的な営業活動や業務効率化を導入することでより高い成長曲線を描ける可能性があります。
社労士×行政書士で月商200万円に至るまでの施策（実体験ベース）
ブログ集客＋セミナー＋士業連携で月商200万円を達成した事例があります。
この事例では、ブログを通じて潜在顧客を獲得し、専門的な記事で信頼を構築したうえでセミナーを開催し、参加者との関係性を強化しました。
さらに、行政書士と社労士それぞれの得意分野を活かし、業務提携した他士業からの案件紹介を受けることで、幅広いサービス提供が可能となりました。
また、価格戦略としてパッケージプランを導入し、単価の向上とクロスセルを実現する仕組みも取り入れています。
これらの施策を継続的に行った結果、顧客層が拡大し、安定した案件獲得につながったことで、月商200万円という目標を達成することができました。
行政書士と社労士どっちが稼げる最終結論
- 安定重視→社労士
- 高単価狙い→行政書士
- ダブルライセンスもおすすめ！
総合的に見ると、社労士は顧問契約による継続的な収入基盤が強みであり、行政書士は入管や建設業など専門性の高い分野で単発でも高収益を実現できる可能性が高いと言えます。
さらに、両資格を併せ持つダブルライセンスは、複合的なニーズに応えるワンストップサービスの提供が可能となり、収益と顧客満足度の双方を最大化できます。
今後はAI・法改正の影響を踏まえた専門領域の深化が収益増の鍵となるだけでなく、テクノロジー活用や他士業との連携によるサービス拡張も求められるでしょう。
自らの強みを明確化し、時代に合わせた成長戦略を描くことが、長期的な成功と安定収益の獲得につながります。
管理人は宅地建物取引士・行政書士・社会保険労務士・中小企業診断士をはじめ10資格以上を保有し、10年にわたり社会保険労務士事務所として活動してきました。
現在は資格取得ノウハウや実務経験をもとにを執筆・監修し、受験生へ最新の学習法とキャリア情報を発信。
自身の体験をもとに“リアルで役立つ資格情報”をお届けします。
【資格取得歴】
2008年2月 簿記2級
2008年10月 販売士2級
2009年12月 宅建士
2010年11月 社会保険労務士
2011年1月 行政書士
2011年3月 FP2級
2011年12月 中小企業診断士
2012年7月 世界遺産検定1級
2013年4月 年金アドバイザー2級
2014年3月 特定社会保険労務士
【実務歴】
2012年10月中小企業診断士登録
2013年4月社会保険労務士開業
以後10年間社会保険労務士として活動し現在はWebサイト運営に専念
